遺産

カロン・セギュールに漂う悠久の時の流れ。

それは、このドメーヌがメドックで最も古いシャトーの一つだからなのでしょうか。それとも、当シャトーを象徴するオーナーであったセギュール侯爵が、シャトー自体を一つの伝説と化したからなのでしょうか。

歴史家はカロンの起源をガロ・ローマ時代と見ています。その名は、かつてジロンド河口を行きかっていた小型の輸送船《カロンヌ》に由来します。 既に12世紀にはワインを生産していた記録が残っていますが、栄光の頂点に達したのは18世紀、ラトゥールやラフィット、ムトンも所有していたニコラ=アレクサンドル・ド・セギュール侯爵の時代です。これ以降、カロンはカロン・セギュールへ改称しました。

その後、有名な1855年の格付けで当シャトーは第3級を獲得します。 1894年から2012年までは、ガスクトン家が品位と節度をもって当シャトーを維持してきました。

今日、カロン・セギュールとカプベルン・ガスクトンの両シャトーの運営は、ジャン=ピエール・ドゥニ率いるアルケア相互銀行グループの子会社、シュラヴニール社に任されています。共同経営者であるヴィドロ・グループと共に、シャトーの歴史を尊重しながら、大規模な改修工事に着手しました。 シャトー・カロン・セギュールは、その偉大な遺産を次世代へと継承していきます。

《ラフィットでもラトゥールでもワインは造っている。だが私の心はカロンにある。》
セギュール侯爵ニコラ=アレクサンドル (1697-1755)

ここで明記しておきたいことは、ジャン=ピエール・ドゥニがカロン・セギュールの購入を決めたのは、熟慮の上だったということです。厳しい経済界で生きる銀行が、長期的な投資の対象として選んだのです。とは言うものの、この実業家はワインに精通していました。

35歳でワインに興味を持った彼は 《遅めではあったが、以降、ワインに完全に魅了されている》と語っています。ワインを愛すると同時に収集家でもある彼は、多くの産地の中で特にボルドーを好むとのこと。

シャトーの運営にあたって、メドック生まれでワイン生産者を祖父にもつローラン・デュフォを総支配人に任命しました。ローラン・デュフォは、人間としても技術面でも大きな目標に挑むことになりました。 彼を支えるのは、カロンの哲学に忠実に誠意をもって働くチームです。

技術責任者には、ドゥニーズ・ガスクトンにより2006年に任命されたヴァンサン・ミレが留まります。彼は就任するや否や、ブドウ畑の大胆な刷新計画を立て、テロワールの価値を更に高めるという使命に向かって尽力しています。

石垣の魔法

カロン・セギュール、カベルネ・ソーヴィニヨン。
共通するイニシャルをもつこの2つは、信頼していただいて間違いありません。

また 1855年の格付け時に55ヘクタールあったブドウ畑は、今日でも55ヘクタールです。数世紀を経てもテロワールの面積が不変な、非常に珍しい例です。

畑はサンテステフ村の中心部を背に一箇所にまとまっているのですが、メドックでは稀なことに、周囲が完全に一つの石垣で囲まれています。カロンの最も優れた畑は、シャトーのすぐ近くの《ランクロ》区に広がっています。

地質学的にカロン・セギュールに類似する畑は、他には殆ど見当たりません。ブドウ樹は、大河によって運ばれてきた砂利の厚い層に深く根を下ろし、その下には粘土の地層があります。この組み合わせが、カロン・セギュールのワインにパワーとフィネスをもたらすのです。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、カロン・セギュールのワインの背骨に相当し、アッサンブラージュの4分の3以上を占めます。

年間を通して常にブドウ樹に手をかけなければ、高品質なワインは得られません。畑の土は伝統的な手法で耕され、春から秋にかけては、働き手の大部分が摘葉や房の間引きなどのグリーン作業に動員されます。ブドウが完全に熟したら、手摘みで収穫します。

ワイン

当シャトーで最重視されるのはフィネスです。

サンテステフのこの優れたテロワールから生まれるワインには、パワーは常に備わっているので、それ以上加える必要はありません。醸造責任者の仕事はソフトなタンニン、フレッシュさ、自然なアロマを保つこと、即ち原料であるブドウそのものを生かすことです。ワインは18~20ヶ月の間、新樽で熟成されます。清澄作業は数年前に、卵白を用いた方法に戻しました。

カロン・セギュールのファーストワインは、テロワールと全く同じ特徴を備えています。希少で本物、感動を与えるワインで、見事なしなやかさとたぐい稀な凝縮感の両方を自然に感じさせます。この2つの調和により、魅惑的なカロンのワインが生まれるのです。

セカンドワイン: マルキ・ド・カロン

カロンのテロワールの別な表現、それがセカンドワインです。平均してアッサンブラージュの75%をメルロが占めるため、すぐ楽しめる、しなやかで明るいワインに仕上がっています。17ヶ月間、新樽率3分の1で丁寧な熟成を行ないました。

テクニカル・シート

プロジェクト

2016年1月10日 サンテステフ

工事で沸き立つカロン・セギュールに時は流れ、長い歴史が刻まれていきます。

改修工事は今がたけなわ:醸造棟が新築され、エレガントな邸宅はかつての活気を取戻し、庭では既に草花が芽を出そうとしています。

セギュール侯爵が最も愛するワインだと告白してから3世紀、カロンは再び永遠へと羽ばたこうとしているのです。

大規模工事がいくつもの季節を超えて続けられ、ドメーヌの至る所が生まれ変わりました:ブドウ畑、醸造棟、邸宅、庭。数世紀に渡る歴史を尊重しながらも、新しい時代を築いていくことを、皆が望んでいるのです。

新しいブドウ畑

元来備わっている素晴らしい可能性を
取り戻すことを目標としています。

ヴァンサン・ミレによって2006年に起工されたブドウ畑の再構築は、二つの主要目標に沿って続けられています。植樹密度を高め、カベルネ・ソーヴィニヨンの本数を増やすことです。

ファーストワインに欠かせないカベルネ・ソーヴィニヨンの割合は、2028年には畑全体の70 % に達する予定です。新たな植樹はマサル・セレクションやクローン選抜計画と同時に実施されますが、これらはシャトーの財産であるブドウ品種の多様な遺伝子の保持に不可欠です。大規模な作業ではあるのですが、これにより当シャトーのワインに特有な複雑性が高まります。

農学エンジニアが一人、チームに加わりました。彼女はボルドーワイン委員会 (CIVB)と協力して、特に環境面を担当します。水やエネルギーなどの資源の有効利用、化学薬品などの削減、廃棄物や廃水の管理、外注サービス利用の共同化、生物多様性推進などを同時に管理する方法の確立を目標としています。

ドメーヌ・ド・カロン

Domaine de Calon - 33180 Saint-Estèphe
(ドメーヌ・ド・カロン - 33180サンテステフ)

上記カロン・セギュールの住所には、このシャトーの地理が明確に現れています。数世紀にわたってカロン・セギュールでは、邸宅を取り囲むように位置する農作業用施設、小道、畑の区画、庭が、田舎に良く見られるような大きな一塊を形成していました。工事が進むにつれ、カロン・セギュールは大規模な領地としての姿を現してきています。シャルトルーズと呼ばれる優雅な邸宅には、まばゆい光が灯されるばかり。塔にも手が入れられ、石の階段や寝室では最初の客人を迎える準備が整えられました。昔の姿を取り戻した丸窓から眺める、新たに整えられたフランス式庭園は、ファンタジーの世界のようです。醸造棟に設置された最新式の円錐台形ステンレスタンクは、区画毎や区画内選別されたブドウの発酵に必要な厳しい条件を満たしています。その数は倍増されました。すぐ近くに、砂利の緩やかな丘の頂きと調和した醸造棟が立っています。永遠普遍のこの場所の魅力を伝えるため、瓦、ジロンドの石、木などの材質が用いられました。醸造棟と熟成庫は地下の通路で結ばれています。 熟成庫は以前のものと比べて、より広々と美しく、しかも機能的にできています。醸造の全工程が重力に従うように設計され、ポンプは1本も無く、選果台から発酵タンクまでブドウは最適な方法で運ばれます。

ボトルの新しいデザイン

商品のわかり易さ

プラス・ド・ボルドーの長い伝統に則って、ボルドーではシャトー主がネゴシアンやその顧客に時間をかけて自らのワインを紹介します。

その際、各商品の特徴を明確に定義する必要があります。

2013年ミレジムから、カロン・セギュールの3種類のワインは、共通点を残しながらも、各ワインの判別がしやすいように、ボトルのデザインを刷新しました。

いつの時代にもエレガントなファーストワイン、個性を備えたセカンドワイン、チャーミングなサードワイン。ネゴシアンやワイン愛好家に向けて、各ワインをこのように定義しました。

隣に位置するシャトー・カプベルン・ガスクトンも、シャトー・カプベルンと改名され、その特徴が前面に出されます。

このように商品を区別化する一方、全体のパッケージングも改めました。ボトル、コルク、キャプシュール、木箱、段ボール箱などは、上質な材質やデザインに変更されました。